この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、 私は外側の人間。
「テーマパークでの簡単なアルバイト。時給850円。交通費支給。
監視員って名目だけど、実際は人なんか来ないから、
4、5時間座ってるだけ。
携帯を触っててもいいし、大学の課題をしたっていい。
バイトが終わったら、テーマパークで遊んで帰っていい。」
もし仮に、こんなバイトがあったとしたら、
ぐうたらで暇を持て余す大学生は、間違いなく釣られると思う。
俗に言う『アホな大学生ホイホイ』である。
私も「めちゃ楽なバイトやん!やってみよ~♪」ってな感じで
深く考えず応募した。数日勤務することに。
現地集合し、オジサン達からの注意事項をふまえ、各自持ち場に分かれる。
私の担当は、アトラクション裏の倉庫内の、そもそも社員しか通らない場所。
とにかくマジで人が来ない。
(数日間の勤務で計5回くらいしか来なかった。しかも殆どが同じ人)
、、、孤、独。
電波悪すぎ。スマホ全く使えネェ~~。
勉強と読書ぐらいしかやることがない。
でも、やたらと作業音がうるさい。集中できない。
ひーーまーー。まーーひーー。(←延々と独り言でつぶやいてた)
辛いのが、一枚の窓を隔てたコントラスト。
向こう側からは、ハロウィンの楽しげで不気味な音楽。
おそろいの、色鮮やかな衣装たち。
「キャー」という悲鳴。拍手と歓声。
なのに!!そんな華やかな気分を一緒に味わう恋人も、友達でさえも居ない私。
誰からも愛され、必要とされない私。
そもそも、向こう側の人達と私は、根本的に人種が違う。
輪廻転生を何度繰り返したとしても、あちら側に行ける気がしない。
、、、そもそも、私はこんなことしてる場合だろうか。
「人生は一度きり!」みたいな陳腐なことは言いたくないけど、
こんなにも若くて貴重な時間を、
得体の知れない倉庫の中で、
誰とも関わらず、微動だにせず、頭も働かさず、
はした金をもらう為だけに失うべきなのか。
めっちゃ歳をとったとき、
この時間を、老いた私が買うとする。
そしたら、850円で済む訳がない!
8500円!いや、85000円!、、、
そうこう考えあぐねている内に、勤務時間が終わる。
わ~い!私も向こう側に行けるぞ!!(←こりゃまた独り言)
って思ってたけど。
テーマパークって、
一人で遊んでも全く楽しくないですね。(当たり前)